孫悟空などをしたがえ、龍の化身の白馬にまたがった三蔵法師は、玄奘がモデルになっています。 この玄奘さん、唐の時代の中国のお坊さんですが、国禁を犯して出国、西域経由でインドに赴き、猛勉強の末に大量の仏典を持って帰国、大勢の弟子たちと共にインドの仏典を中国語に翻訳しました。 さて、玄奘さんは、「大唐西域記(だいとうさいいきき)」というブ厚い旅行記を書きました。 ところが、この旅行記、ただの旅行記とは大違い。 西域からインドにかけての様ざまな国の地理、人口、産業、国力などを実に丹念に記録したもので、まるでスパイの報告書のようなしろものなのです。 唐にとっては、国防、対外政策の基礎にもなる貴重な書でありまして、皇帝も大喜びだったはずです。 違法出国者であった玄奘に、結局なんのおトガメもなかったというのも、そのあたりの事情によっているのではないかと思われます。 |