金ピカだった奈良の大仏さま

 奈良の大仏さまは、今では黒ずんだ銅の地金をあらわにし、それはそれなりの雰囲気をかもしだしています。
 しかし、初めのうちは金ピカの金メッキが施されていました。
 それが、度重なる戦火のために金がすべて溶け落ちてしまったのです。
 同じことは、薬師寺の薬師三尊などについても云えます。
 今では、「金ピカ」というと悪趣味の代名詞みたいに思われています。
 奈良の大仏さまや薬師三尊を、昔通りの金ピカにしようとしたら、多くの人が反対することでしょう。
 しかし、本来からすれば、仏さまの像は金ピカであるのが正解なのです。
 というのは、仏さまの身体上の特徴の一つとして、仏典に「身金色相(しんこんじきそう)」が説かれているからです。
 つまり、皮膚が金色だということです。
 仏像を金ピカにするのは、ただの黄金崇拝とか成金趣味などではなく、仏典に忠実にしたがったまでのことなのです。