子供のこころ

 小学校三、四年生になると、幼児期の名残りも抜け、いかにも小学生らしくなってきます。
 知識欲も高まり、行動もきわめて活発になります。
 また、生まれ月による発達の差も目立たなくなり、ある意味で安定した時期です。
 親への依存度が減少し、自立心が育ってきたこともあって、生意気盛りで気が散りやすく、親の言うことを聞かない頃です。
 低学年の頃は、身近な数人の友だちと遊ぶことが多かったのに、中学年になると五〜六人前後の決まった顔ぶれで遊ぶようになります。
 リーダー的な子を中心に仲間をつくり、群れて遊ぶようになります。
 この集団を「ギャング集団」と呼びます。
 昔は、このような仲間たちと秘密の隠れ家をもったり、野球をしたりして連帯を強めていったものです。
 しかし、最近は遊び場もなく子供の数も減り、しかも、下校後は熟通いなどに追われて、以前のような光景がメッキリ減ってきました。
 でも、塾や学校などの屋内を舞台に、仲間づくりが見られる事があります。
 この仲間づくりから落ちこぼれると、辛い思いをすることがあるようです。
 仲間遊びは、子供の発達上とても大事なことと考えられています。
 仲間同士で協力し合い、ルールを守り、知恵を働かせて創造的な遊びを作り出したり、伸び伸びとした体験を育むことが出来る場だからです。
 中学年(三、四年生)から高学年(五、六年生)にかけて、もう一つ大事なテーマがあります。
 それは、知識や技能を自分のものにするという事です。
 基本的な信頼感と自主性を育んできた子供は、そのエネルギーを生活の知恵を学ぶことに向けていきます。
 この頃を「知識生活の時代」と言います。
 好奇心も広がり、大人顔負けの「もの知り博士」も出てきます。
 この知識欲の盛んな時期に、学習習慣を身につけ、創造的な遊びやスポーツ、稽古事などに打ち込むことによって、知識や技能を自分のものにしていく訳です。
 それらを自分なりに使いこなしていくことによって、「自分なりにやれる 」という有能感や自信が生まれてきます。
 反対に、生活の知恵を得る機会が乏しく、勤勉に努力する能力が育ちそびれると、皆と一緒にいても引っ込み思案となり、劣等感を抱きやすくなってしまいます。