遊び

 自動車のハンドルには、“遊び“というものがあるのをご存じだろうと思います。
 なぜ、あのような“遊び“がわざわざ設けられているのか知っていますか?
 あれは、より安全に自動車を運転するためにあるのだそうです。
 仕事にしても生活にしても、遊びがないと人間らしく生きていけないのです。
 朝早くから夜遅くまで仕事しごとで、生活の中に余裕や遊びがないと行き詰まってしまいます。
 今の子供たちを見ても、勉強べんきょうで本当に忙しい。
 学校だけでは物足りず、塾にまで通う。
 どんな事でも、何かを成就しようとすれば、そのために一生懸命やるのは当然のことなのだが、遊び心を持たないやり方は余裕のない方法だと思う。
 目標に達成するために、不必要なものはすべて排除し、合理的にやった方が効率が良い───と誰でも考える。
 しかし一見無駄と思えることが、実は人にとって重要な働きをするのではないだろうか。
 ハンドルの遊びにしても、無駄のように思うが大切な働きをしている。
 仕事は大切だ、勉強は大事だ、とそれだけに没頭し、その他の事をすべて切り捨ててしまって良いのだろうか。
 自分とって今は必要でないかもしれない遊びのなかに、自分の視野を広めるための種が隠されているかもしれないのである。
 ただタダ、自分の目標に忙しく向かっていくだけでなく、たまには横の景色も見る余裕が欲しいものである。
 ただし、自動車のハンドルにも適量というのがあるように、遊び過ぎには注意しないとネ。