お坊さんの上下関係をきめる基準は?

 仏教教団も組織であるからには、人間関係の上でなんらかの秩序が必要になります。
 そこでおシャカさんの時代には、正式に出家(受戒)してからの長短を上下関係の基準としました。
 いわば、勤続年数といったところでこれを後世の言い方で、法臘、また、これによって座る場所も決められたのでその順番を臘次といいます。

 出家の世界に世俗のことがらを持ち込むことはきつく戒められていたわけで、出家以前の身分、階級、家柄、財力は、出家の世界ではなんの意味も持ちませんでした。
 家柄ゆえにエリートコースに乗った駆け出しの若い坊さんに、経験豊かな老僧がペコペコするような光景は、少なくともおシャカさんの時代には絶対に見られなかったはずです。

 現在でも、南方仏教のお坊さんの間では見られません。
 ちなみに、おシャカさんの頃には「正式に出家する」年齢は特に定められていなかったようですが、少し時代が下りますと、二十歳ということに定められました。

 とはいえ、その年齢に達していなくても、出家することは出来ました。
 そういう人たちは、いわば「お坊さん見習い」といったところで、正式のお坊さんよりはグッと少ない数の戒律を守ることになっており、男子ならば「沙弥」、女子ならば「沙弥尼」と呼ばれます。