お床は、その家の上座に設けられる。
その昔(今でも)、生け花や陶芸、書などを飾る空間を提供していた。
大切な客人は床の間にお通しする。
家の主人より身分が上の客人は、お床を背に座して頂いた。
まあ、昨今は会社上司の訪問を受ける事もなく、偉人と言われる人も少なくなって床の間という概念さえ薄れてきている。
人に上下の関係を付けるのは昔の悪しき~という考えもある。
長じて、人を尊敬する心も減衰する一因にもなったのかもしれませんが…。
ところで、お床は、日頃の生活空間とは別のもので無駄にさえ思えるが、実は一息つけることが出来る大切な空間である。
無駄を省いてしまったが為に息苦しくなることだってあるのだ。
お床が大事に大切にされていた昔、お床に足を踏み入れることはタブーだった。
どうしても足を踏み入れなければならない時は、敷物を敷いてその上に足を運び、神聖さを保ったものだ。
人間は物事が上手く行くと図(頭)に乗りやすい生き物。
その頭をちょっと抑えてくれるものが必要なのかも。それが神仏を祀るということだったかも。
寺報209号から転載