比較して不幸になるなんて

 人間には、オカシナ習性がある。
 それは、何事についても他人と比較することである。
 まあ、それで幸せになれるなら良いが、現実には逆の場合が多い。
 「隣のご主人は課長なのに、うちの主人はまだ係長だワ」
 「隣のご主人はいつもきちんと帰ってくるのに、うちのときたら」
 「B社はボーナスが三ヵ月も出たのに、うちの会社ときたら」
  etc.
 『隣と仲が悪くなりにけり。
 隣が家を建てし頃から』とか、
 『やれ嬉し、隣の蔵が売られゆく』
などと言い表わされているように、隣との付き合いというものは難しいものです。
 気にしないつもりでも、「秋深し隣は何をする人ぞ」と俳句にも出てくるのだから。
 「隣が種をまいた、こちらの隣もまいた、オラもまくべー」となってしまうのだろう。
 隣の芝生と同じで、人のモノは良く見える。
 上から見れば同じものを横から見てガッカリするなんて、気の毒を絵に書いたようなものである。