中国では、生まれた赤ちゃんに乳を与える前に、まず ○酢をなめさせる ○次に、塩をなめさせる ○その次に、にがい薬をなめさせる ○そして、トゲのあるカギカズラをなめさせる ○最後に、砂糖をなめさせる という「五香の儀式」を行なったという。 この世に生まれ出た赤ちゃんに、人生は「すっぱく」「からく」「にがく」「痛い目」に会わなければ、甘いものにはありつけない事を、身を持って体験させたのである。 今もこの習慣が残っているとしたら、素晴らしい。 なにしろ、生まれた時から過保護に育てすぎる。 親としては愛情を注いでいることになるのだろうが、ひ弱な人間が多過ぎる。 ちょっと困難なことに直面すると、簡単にギブアップしてしまう。 せっかく入学した高校・大学などでも中途退学が非常に多い。 ようやく就職しても「もし、いやだったら、いつでも帰っておいで」と送り出す。 結婚する時も、「もし、うまくいかなかったら戻ってきてもいいのよ」では、うまくいくワケがない。 極端に過保護な母親は、新婚旅行について行くこともあると聞く。 ある父親は、娘が夫とケンカして実家へ戻ってきたところ、「この品は特別品につき、返品、お取り替えの儀は平にご容赦下さい」と、手紙をつけて夫のもとに帰したそうである。 なんとも、ユーモアと厳しさを持ったいい父親だろう。 さて、何事についても、先憂後楽を常とすることをお勧めしたい。 初めから楽をしようとすると、反って後で苦労することになる。 最近の食生活をみていると、生活水準が向上したせいか、常日頃から美味しいもの、ぜいたくなものを食べている。 だから、正月になっても何もご馳走はない。 いつもと同じものを食べることになってしまう。 仕事の面においても、下積み生活がないので、困難な仕事にぶつかると簡単に挫折してしまう。 何事についても、初めにイヤな事、辛いことから対処することが大切ではなかろうか。 「眼からウロコが落ちる本」笠巻勝利著から |