蔵の財、身の財、心の財

 「一日だけ幸福になろうと思えば、床屋へ行きなさい。
 一週間だけ幸福になろうと思えば、結婚しなさい。
 一ヵ月だけ幸福になろうと思えば、馬を飼いなさい。
 一年だけ幸福になろうと思えば、家を建てなさい。
 一生涯幸福になろうと思えば、心正しく生きなさい」
 すがすがしい整髪の気分も、せいぜい一日の事。
 華やかな結婚も、夢のような新婚旅行中が花であろう。
 馬を飼うとは馴染みが薄いが、さしずめ自家用車の購入というところか。
 新築の我が家も、春夏秋冬を過ごせば後は同じ事の繰り返しである。
 宗祖日蓮聖人は、
 「蔵の財(たから)よりも身の財すぐれたり。
 身の財よりも心の財第一なり。
 この御文を御覧あらんよりは心の財をつ(積)ませ給うべし」
と仰せられている。