愛・仁・慈悲

 あるテレビワイドショーで誘拐事件をテーマに放送していた。
 その中で、被害を受けた子のお母さんが
 「知らない人の優しい言葉にのるな。
 人を見たら泥棒と思え。
 他人を信用してはいけない。
 と教えなければならない今日の社会」と涙ぐんでおられた。
 その子供が優しく素直であるほど、その思いは強いと思われる。
 こうした教育は、幼稚園・小学校でも至極当然として行なわれている。
 この風潮は政治不信・人間不信に連なって行く。
 それは人間の業だと言ってしまえばそれまでだが、それでは余りにも悲しい。
 しかし、それは平和か戦争かを選択させる重要な引き金として、昔も今も変わらぬ人間の営みである。
 世界三大聖人と称されるキリストは「愛」、孔子は「仁」、そして釈迦は「慈悲」の語で、人を信ずる喜びを与えたのである。