子供の権利

 すべての子供が、心身ともに健やかに生まれる権利を持つのである。
 そして出生と同時に、健やかに育てられる権利、精神的道徳的訓練を受ける権利、教育を受ける権利を持つのである。
 これらの権利は、即ち子供の福祉権であり、子供の人権なのである。
 親はもちろんのこと何人といえども、この子供の人権を無視したり侵したりは絶対に出来ないのである。
 『児童の教育および指導について責任を有する者は、児童の最善の利益をその指導の原則としなければならない。
 その責任は、まず第一に児童の両親にある』
と児童権利宣言に述べられている。
 しかし現在の親は、子供をどのように理解し、どのように処遇しているのだろうか。
 親の教育態度から望ましくないと思われるものを挙げてみると、無関心や放任、溺愛や過保護───常に親の都合で一貫性のない育て方、子供を精神的に無視、または拒否し、時には暴力を加えたり食事を与えないなどの虐待………。
 親が一方的に敷いたレールへ無理矢理に追いやる強制的な育て方や過期待、過干渉などから、子供は精神的に疲れ、反社会的行為に走ることもあり得るのである。
 現代の家庭児童問題の特徴をみると、夫婦の離婚、別居、蒸発などが目立つ他、捨て子、嬰児殺し、子供を道連れの心中など………多くの社会的逸脱行為が増加している。
 これら親の養育態度や、子供に関する家庭の問題から、子供の権利はどこへやら───という感を強くするのである。
 子供の権利は子供自身が主張できない。
 育てる側の親や大人が、子供の権利を尊重し守ってやらなければ、その実現は望めないのである。
 特に、乳幼児は子供の権利を守るために、両親の愛情ある正しい養育が絶対に必要であり、その責任を他に転嫁できない大切な時期なのである。
※河口豊氏投稿