憤りを感じる政権の私物化

 昨年末、第三次海部内閣が発足。
 一息つく暇もなく、今年十月末の海部首相の党総裁任期切れに向けて、その後釜を狙う自民党各派閥の胎動が始まっている。
 それが一政党総裁選びならば別に問題はないが、自民党の総裁は即総理大臣なのである。
 先の内閣改造に当っても多くの国民が目を背けるような醜い派閥間の駆け引きが行われたことを、実力者と呼ばれる派閥の領袖や政界の長老たちは一体何と見ているのであろうか。
 衆議院における絶対多数を占める自民党が、その政権の座にアグラをかいての政権の私物化的な甘えと、その驕りに対して強い憤りを感ずる。
 この弊害を是正いるために今までにも何度か派閥解消もあったが、いずれも単に掛け声だけに終ってしまった。
 こうした派閥の悪弊が今後も続くならば、国民(有権者)の手で、その驕る者に対する厳しい鉄槌も下されかねないであろう。
 総理総裁選はもとより、閣僚人事は超派閥的な適材適所主義に撤すべきである。
 「驕る平家久しからず」と先哲も戒めていることを肝に銘ずべきである。
平成3年2月13日付 河口豊氏投稿