平成四年は思想改革の時

 「二度と戦争はあって欲しくない」という願いは、特に日本人には強いが、「もし仮りにそういう事態になったら、あなたは進んで国のために戦いますか」という問いに対しては、「ハイ」と答えたのは日本人で一%、韓国人で八五%、アメリカ人で七○%であった。
 これは、戦後の唯物史観によって失われた愛国心の欠如に他ならない。
 また、愛国心の欠如を端的に表したのは昨年の春、防大卒業生の実態である。
 四九四人の卒業生中、九四人が一般会社に就職したのである。
 防大は、ご承知のように月謝はなく、逆に月八万五千円の支給を受け、四年間で一人当たり約千七百万円を国家が負担しているのである。
 その代わり、卒業後は自衛隊へ入隊という事になっているのであるが、どんな最先端の兵器を装備していても、愛国心がなくてはどうにもならない。
 平成二年に「即位の礼」と「大嘗祭」の祭典があった時に、極左グループの数々の爆破事件、まさに狂気の沙汰である。
 また、すべての行事を終えられた両陛下が伊勢神宮へ報告のためのお召し列車の沿線に爆弾を仕掛けた過激派がいたのは、国史上例がないことである。
 これら、日本人である誇りを持たない国民が、今、日本を亡国へと歩ませているのである。
 国政を担う政治家は、スキャンダルを撒きながら保身に汲汲としており、教育界は義務を忘れた自己の権利を主張するのみの教育に走り、経済界はバブルに表れたような世界への貢献を忘れた道を歩む限り、日本は日本でなくなる。
 今こそ私たち日本人は、日本人である誇りをもって世界平和のために地球家族を目指して一大啓蒙運動を展開すべきであると思う。
 この事はすべての宗教界にも通用するのを申し上げておきます。
平成4年3月18日原稿 河口豊氏投稿