ウサギやモルモットはおとなしく、いじめても逃げるだけ。 彼らの副腎にはアドレナリンというホルモンが多く、ノルアドレナリンというホルモンが少ないそうな。 ウサギでは20対1で、モルモットは10対1の比率とか。 対して、猫やライオンの副腎にはノルアドレナリンが多く、共に1対1の割合という。 ホルモンの比率だけで論じるのは少々荒いが、怒りっぽい攻撃的動物はノルアドレナリンを多く出しているというデータがある。 では、気になる人間はどうかと云うと、5対1でネズミと同じだとか。 つまり、人間はネズミとほぼ同じバランスで、ストレスに対して怒りや驚きを表す動物なんだそうだ。 それで、ハンス・セリエ(一九○七〜一九八二)という学者は、ネズミに有りとあらゆる外敵・ストレッサーを加え続け、人間のストレスを研究した。 かくて、セリエの輝かしい「ストレス医学」は、人間に似た無数のネズミたちの尊い 犠牲の上に確立されたという訳である。 彼が長年の研究で発見した「自然の法則」とは、次のようなものである。 《人間の体は、同じ部分に余り多くのストレスを受け入れられるように作られていない。 一つの仕事に行き詰まったら何か別の事をしてみると良い》 《不快なストレスの主原因の一つは、人生に対する不満・つまり自分自身の業績を軽侮している事から起こっている》 《人間の体は、心身の健康を維持するために努力に足る目的に向かって働かなければならない仕組みになっている》 セリエは、生き物の基本的要素は「利己主義」だと言っている。 もし、自分自身に正直なら、自分と同じように他人を愛せる人間なんかいない筈である。 とは言え、「自分さえ良ければそれでいい・他人を犠牲にしてでも良い目を見る」という〃利己主義〃を肯定すれば、人間社会は崩壊する。 では、人間社会に益があり、しかも不快なストレスを避け、世間をうまく渡り、健康長寿を保つにはどうすれば良いのか? セリエは言う、「利他的利己主義、汝の隣人の愛を獲得せよ、を信条にせよ」と。 隣人の愛を獲得する最善の方法は、できうる限り他人に隣人に役立つ人間になる事。 まあ、結局はこの辺りに落ち着くようである。 |