諸行無常

 「行」が正確に何を指すのか、分かり難いところもありますが、この言葉が出てくる前後の話のスジ道をみれば、「あらゆる物事は、いつまでも同じままではいない」という事を言っていることが分かります。
 ギリシァの古い時代に、ヘラクレイトスという人がいますが、この人の言葉に、「すべてのものは流れる(万物流転)」というのがあり、しばしば「諸行無常」の話の引き合いに出されます。
 確かに、諸行無常は万物流転みたいな事ではありますが、古い時代の仏教が、この言葉で意図していたことは、あくまでも、『人は必ず死ぬ』という事でした。
 しかし人々は、普段は、〃死ぬのは他人〃だと心のどこかで思い続けています。
 ですから、いざ自分が死ぬダンになって、悩み、苦しみ、慌てるワケです。
 諸行無常である   とシッカリ自覚するところに、死の苦しみ、恐怖をまぬがれるすべての方策があると仏教では教えています。