ミョウガになった周梨槃特

 おシャカさんのお弟子に、パンタカという名前の兄弟がいました。
 お兄さんのほうは知能がすぐれた人だったのですが、弟のチューラパンタカ(音訳=周梨槃特)のほうは、ちょっとおツムのできがよくなく、おシャカさんの教えのどんなにカンタンな一句すらも覚えられませんでした。

 そこで、おシャカさんは、布切れを与えて、訪れた客の履き物を拭いて、きれいにすることを命じました。周梨槃特は、根が真面目だったのでしょう、訪れた人たちの履き物を片っ端からきれいにしていきました。そして・・・。忽然とサトッタといいます。
 わが国では、”もの覚えの悪い周梨槃特のお墓の上に一本の草が生えた。その名をミョウガという。だから、ミョウガを食べるともの覚えが悪くなる”といういい伝えがいつのまにか出来ました。
 たしかに、ミョウガは香りが強く、食べると鼻から前頭部にかけてボーッとした感じになります。こんなところからそうした言い伝えが出てきたのでしょうが、もちろん、ミョウガと記憶力に因果関係はありません。