春と秋のお彼岸・お盆、そして祥月命日…年回忌のご法事。
お墓参りの機会が沢山あります。
ところで、お墓には埋葬墓と参り墓(詣り墓)の二種があります。
ご遺体を葬ったお墓とお参りのためのお墓です。
これを両墓制と云い、後者には遺体御遺骨がありません。
土葬が主流の時代に普及しましたが、火葬が主流になった今は廃れてしまいました。
各地に大覚大僧正や日奥、日講各上人の石塔が見えるのは参り墓と云えます。
お上人のお墓が遠地なので参り墓を建立し、信者はそこに足を運んだのでした。
お墓に参るということは、祀られている人に会いに行くという意味があります。
お花、お線香、お水、お供え物などを携えて。
死後の世界を信じない人でも、生前の恩義に感謝し、どんな形にしろ供養を営むと思います。
何故なら、死んでしまったからといって、その人の生前のことすべてが消え去ってしまう訳ではないからです。
お墓に参り、墓前に立った人にとって墓石は墓石ではなく亡き人そのもの。
さて、皆さんは何を語りかけるのでしょう。
寺報213号から転載