寺報コラムから

神は人間が作った

 『神は人間が作った』という主張があります。
 確かに、人間が居なければ「神」という概念は生まれなかったでしょう。
 まぁ「神」といっても多神教の神と一神教とではその概念が異なりますが、荒っぽく言えば、いずれも人間が頭を垂れる「信仰の対象」といえるかもしれません。

 ところで「神は人間が作ったのだから、人間の方が偉い」なら、少なくともあれこれ悩むこともないし、何もかも思い通りになるはずです。
 しかし実際は、自分の身体でさえ思い通りになりません。
 人類は大自然の法則を読み解き、それを社会発展、生活向上のためにも役立ててきました。
 そのため、昔は不可能だったことが可能になり、今まで諦めていたことが諦めなくて済むようになってきたのです。
 特にここ数十年で人間は今まで以上、利口になったかもしれません。

 しかし、まだまだ分からないことも多く、謎が解明できた先に新たな謎が出現することもある。
 分かったつもりで図に乗るとロクなことがない。
 人智を超えたものを神と呼ぶのが嫌でも構わないが、そこに謙虚さを失うとそれこそ本当にロクなことがない~かもしれないのである。

寺報214号から転載