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梵語の法華経が、漢訳されたのは?。

 仏教が中国へ伝えられたのは、今の学説では、およそ1世紀後半頃からと言われています。
 西域地方にまで仏教が伝わり、この地の僧が、王や貴族の保護をうけて、中国各地に仏教を伝えていったといいます。
 梵語を漢字に置き変える訳経という仕事は、初めは西域人を中心とした多数の人々の協力で行ったのです。
 孫悟空の物語『西遊記』に出てくる三蔵法師(玄奘−600〜664)は中国の大翻訳家で、17年間の旅を続けインドのナーランダ仏教大学でインドの言葉や教えを学び、600部に及ぶ仏典漢訳の大事業を行いました。
 法華経の漢訳については、古いものでは、笠法護というインド北方の月氏国の出身で、西域の交通の一大オアシスとして栄えた敦煌の僧が、286年に『正法華経』を訳しました。
 これは、梵本を忠実に遂語訳したもので難解でした。
 これに対して、私たちがいま読んでいる法華経(正確には妙法蓮華経)は訳語が流麗で、しかも読みやすく親しみやすい文体であるため、一般的に法華経といえば、この『妙法蓮華経』を指すほど広く用いられています。