雑談雑話(7)

同質性

 日本経済の最大の強味、それは同質性にあったと言う。
 目標が明白で、それに向かって最も効率的に達成を図ろうとする時、この同質性は大きな武器になった。

 「追いつき・追いこせ」型の経済において、日本経済は同質性のもとで効率を極大化し、国際競争を勝ち抜いてきたと言えよう。
 同じような教育を受け、同じような発想をし、同じような礼儀をわきまえ、同じような行動パターンを持った人々の集団─。
 この同質性が、日本経済を世界のトップレベルまで押し上げた。
 これこそが、効率の極大化を求める日本経済にとって、最も必要な人たちであった。

 このような社会では、他人と異なった行動パターンなどを持つ者は排除される。
 なぜなら、それは目標に向けての効率を低下させるからである。
 しかし、日本経済を成功に導いた「同質性の維持」という戦略は、果たして今後も有効であろうか。

 歴史には、おもしろい逆説が見られる。
 一つの勢力が台頭し、そして衰退していく時、その原因は往々にして、自らが成功した戦略・勝利をもたらしたその同じパターンをなおも取り続けたことによるという。

 状況が変わり、戦略も変わらなければならないにもかかわらず、「勝利の記憶」を消し去ることが出来ずに…衰退する。
 日本経済は今、世界経済のトップに躍り出ることによって、追求すべき目標を見失ってしまった。
 私たちは、今迄なじんできた同質性の行動パターンを捨て、新しい発想をあらゆる段層において持たなければならない時代を迎えているのではなかろうか。
2007.4.17_UP